プロジェクト開始の日

40歳になった。本厄の大厄だそうだ。
さすが大厄、年があけてすぐに「自然気胸」と言うものになった。

夜中に突然、胸にギュッとした異変を感じ、その朝に病院へ。すぐに紹介状を書いてもらい別の病院へ移動しそのまますぐ入院。

病院を移動したらすぐに脇腹に穴をぶち開けられ、管を通された。水曜日のことだ。
2日後の金曜日には全身麻酔による手術をした。
この夜は大変だった。
横になっても身体を起こしても、手術した側の右上半身が痛く寝れない。看護師に睡眠薬をもらって30分だけ寝ることが出来たけど、ほぼ無睡で朝を迎えた。


朝には不思議な力がある。
太陽の光が差し込み、騒がしくなり出す病棟内、人々が活動しだすエネルギー。
この夜中の苦しく辛い、孤独で鬱屈とした状態がかなりマシになった気がした。
前日(手術当日)は一食も食べていない。この日は朝からご飯が出た。
今の時代、様々な栄養の摂り方はあれど、食事をすることは大事だ。
「食べる」という行為は、不思議と元気が出てくる気がする。
「食べる」は「生きる」だ。

脇腹の管と点滴と胸についた心電図の数本の線。
トイレへ行くのも、入院中のお年寄りに抜かれるスピードでしか歩けなかった。咳もくしゃみもあくびも、痛くて出来なかった。

この日は、すっかり安静にするほかなかった。
スマホを見る元気もない。思考も巡らない。ただ、身体を休めて回復させることに集中せざるを得なかった。

この日は、夜に3〜4時間は寝れた。
よかった。


次の日、さらに少し、身体が回復している実感があった。
朝ごはんを食べながら、持ち込んだPCでニュースを見る余裕が出てきた。(Wi-Fiが使える、イケてる病院だった。)
身体がだんだん悪くなるというのは、精神的にかなりキツい事だろう。
しかしだんだん回復していくというのは、思いの外ポジティブな作用が強い。

元々ここ最近ぼんやり考えながら、chatGPTやGeminiに相談していた事があった。

それは自宅に自分専用のローカルAIを構築して、様々なことを自動化させる事だった。
元々僕はAIをあまり触っていなかった。2026年現在、自分のスマホにchatGPTなり、Geminiなりを入れてる人はかなり増えただろう。僕もその一人だったが、仕事で使ったりはしておらず、「めちゃくちゃ賢い話し相手」として楽しんでいる程度だった。

しかし、時代を席巻するほどのAIとは、本当に「頭の良い話し相手」のことなのだろうか。「画像を生成させる」ことはそんなに画期的なのか。(画期的だけど。)
様々な分野でAIが活用され始め、自動車の運転すら出来るAIと言う存在と、「大企業が使いやすくデザインしたものを使うだけ」といった接点しか持たないままこの大きな流れに飲み込まれていくのは、些か寂しい気がしていた。

昔のSFで見た未来は、本当にすぐそこに来ている事はなんとなく感じている。
だから、積極的にその「未来」に参加したいと思った。

実は今の僕の自宅は、「Hey siri、電気つけて」でリビングの電気がつく。
「Hey siri、テレビつけて」でApple TVとTV本体の電源が入る。
さらに、「Hey siri、映画」というと、リビングの照明の明るさを5%まで下げて、Apple TVと接続されたHomePod mini(スピーカー)の音量が75%に調節される、といったオートメーション的な事も出来る。
最後に「Hey siri、全部消して」というと照明もテレビもスピーカーも全てオフになる。
そしてこれは5年前からこうだ。

当時はこの機能に「未来」を感じ、ワクワクしながら設定して使った。
しかし、今となっては照明は壁のスイッチでオンオフするし、Apple TVの電源はリモコンで操作する。(洗い物など手が塞がってる時はたまに「Hey siri」を使うけど。)

そう、結局これらは一見「昔夢見た未来」のようで、実は少し違う。
単に、家電を「音声で操作」しているだけだ。
操作方法が変わっただけだった。だから、すぐに飽きたし、たまに来たる便利な場面以外では使わない。


そうじゃない。


もっとこう、AIが「マスター、これやっときました!」みたいな、
「これやっといて」が通用するような、そんな事は出来ないものか。

いや、今なら出来るはずだ。

僕は、AIのこともコーディングやプログラミングの知識も経験も一切ゼロだ。でもそこは大した問題じゃない。
なぜなら「chatGPT」や「Gemini」といった、超優秀な相棒を誰でも使える時代に、やっとなったからだ。

そこで僕は、

・制限やルール無しの動画生成/映像制作
・外出先からスマホを通じて自宅PCに複雑なタスクを処理させる
・毎朝その日の重要ニュースを自分専用に要約
・生成したコンテンツや要約された情報を手元のiPhoneやリビングのTVへ転送
・家中のデバイスをAIが総合管理し「会話」だけで家が動く

この辺をまず目標にして、自分専用のAIを作ってみようと思い立った。

しかし、これらを実現させようとすると、並大抵のスペックのPCでは難しい。
予算は低く見積もっても100万円くらいは確保したい。

だが一昨年会社を潰し、現在自己破産申請真っ只中の僕には少し時間がかかりそうだ。

そこで、今目の前にあるもので、出来ることから始めよう!となったわけだ。


そして話は戻るが、手術の翌々日。
身体も少し回復し始め、気分がポジティブに上手く乗せられつつあるその日に、Geminiと相談しながらゆっくりとこのプロジェクトをスタートさせた。

入院5日目、2026年1月25日がスタートの日だ。


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